2008年、人材採用業界で何が起きたのか

2008年、人材採用業界で何が起きたのか

2008年、人材採用業界で何が起きたのか
by Microsoft Designer

こんにちは。私は、2008年当時、人材広告業界で営業職をしていました。今回は、その経験をもとに、日本の人材採用業界がどのように変化したのかをお話したいと思います。


リーマンショックの影響


2008年9月15日、アメリカの大手投資銀行リーマン・ブラザーズが破綻しました。これがきっかけで、世界的な金融危機が発生しました。日本の人材採用業界も、このリーマンショックの煽りを本格的に受けたのは2008年の頃でした。


私が働いていた会社は、主にウェブ広告を扱っていました。当時は、ウェブ広告の市場が拡大しており、求人広告も多くありました。しかし、リーマンショックの後、まずは東京から求人がなくなりました。東京は、金融やITなどの先端産業が集中しているため、金融危機の影響を直接的に受けました。企業は、採用活動を凍結し、人員削減を行いました。私たちの営業も、契約更新の打診を断られることが多くなりました。


1ヶ月後には、地方でも求人がなくなりました。地方は、製造業や農業などの実体経済が中心でしたが、世界的な景気低迷の影響で、輸出や消費が減少しました。企業の工場が閉鎖され、人材があぶれることが多くなりました。私たちの営業も、新規の案件を獲得することが困難になりました。


介護・医療系人材募集の増加


求人広告の営業として、この状況に対応するためには、方針を転換する必要がありました。それまで、私たちは、高収入やキャリアアップなどの魅力的な条件を持つ求人に注力していました。しかし、リーマンショックの後、そういった求人は激減しました。そこで、私たちは、それまで決して手を出さなかった介護・医療系人材募集に手を広げることにしました。


介護・医療系人材募集は、リーマンショックの影響を受けにくい分野でした。日本は、高齢化社会に突入しており、介護や医療のニーズは高まっていました。しかし、介護や医療の仕事は、給与が低く、労働条件が厳しいというイメージがありました。そのため、人材不足が深刻な問題となっていました。


私たちは、介護・医療系人材募集に特化したウェブ広告を開発しました。その広告では、介護や医療の仕事のやりがいや魅力を伝えるとともに、福利厚生や教育制度などの待遇面も強調しました。また、介護や医療の資格を持っていない人でも応募できるように、資格取得支援や研修制度などの情報も提供しました。


看護師の求人広告の変化


介護・医療系人材募集の中でも、特に看護師の求人広告は、大きく変化しました。それまで、看護師はほとんどが口コミでの採用だったのです。看護師は、病院やクリニックなどの医療機関で働くことが多く、同じ職場で長く勤めることが一般的でした。そのため、求人広告を出す必要がなく、紹介や人脈で採用することが多かったのです。


しかし、2008年に人材広告業界が手を広げたことにより、看護師の求人広告が増えました。看護師の人材不足は深刻であり、医療機関は、より多くの看護師を確保するために、求人広告を出すようになりました。とくに、ウェブ広告での採用が一般的になりました。ウェブ広告は、紙媒体に比べて、情報量が多く、更新が容易で、ターゲットを絞りやすいというメリットがありました。また、看護師も、ウェブ広告を利用して、自分に合った職場を探すようになりました。


コロナ禍での人材採用業界の現状


私は、現在は人材広告業界から離れました。とはいえ、人材広告業界にいた者として社会情勢を興味深く見ています。2020年からは、新型コロナウイルスの感染拡大により、再び人材採用業界に大きな変化が起きたように感じています。コロナ禍でも、介護・医療系人材募集は需要が高いままですが、その他の分野では、求人が減少し、採用活動がオンライン化し、働き方が多様化しています。新たな状況に対応するために、新しいサービスやソリューションが日々開発されているのではないでしょうか。


2008年のリーマンショックは、人材採用業界にとって、大きな危機でしたが、同時に、大きなチャンスでもありました。私は、コロナ禍でも、同じことがおきているのではないかと思っています。人材採用業界は、常に変化に対応し、進化し続ける必要があります。人材採用業界ほど、社会の大きな変革に巻き込まれる業界もないでしょう。今後も注意深く分析していこうと思います。


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